
2018年3月に個人VTuberとしてデビュー。その後、イノナカミュージックを経て現在のホロライブへと移籍した異色の経歴を持つ星街すいせいさん。
2021年6月からは3ヵ月連続でオリジナル曲をリリース。ゲーム実況や雑談配信など個人放送をしながら、ラジオ番組のパーソナリティーまでマルチな才能を発揮しています。
今回のインタビューでは、VTuber『星街すいせい』を語るうえでは外せない『歌』を中心に、パーソナルな部分までお話をうかがいました! VTuber活動4年目を迎え、YouTubeチャンネル登録者数100万人を到達と、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの星街すいせいさんの魅力をお伝えしていきます!
決して平坦ではなかった100万人までの道のり
――チャンネル登録者数が100万人を突破しましたが、今日までを振り返ってすいせいさんが思うターニングポイントはありますか?
星街すいせいさん(以下敬称略):やはりホロライブに所属したことが一番大きかったなと思います。加入したことで、配信やLIVEの機会が増えて多くの方に注目していただけたと感じています。
――2018年に行われた『第1回 VTuber紅白歌合戦』では、ピックアップ枠に選抜されていましたね
星街すいせい:まだ個人VTuberだった頃に、主催者の歌衣メイカちゃんが私の曲を選んでくださって、そこから2~3000人ほど登録者数が増えました。「曲のPVを自分で作って、すごく頑張っている!」とコメントまでしてくださったんです。今でも感謝しています。
――配信でも個人VTuberの頃は苦労していたと仰っていましたね
星街すいせい:伸び悩んだり、金銭面の不安もあって辞めようかなと考えたこともありました。でも、ふとした時に応援してくれているファンの存在が支えになっていました。それに、「ここで辞めてしまったら何も実らないなぁ」と。
――アイドルVTuberを続けようと思った理由はどこにあったんでしょうか?
星街すいせい:アイドルが好きだからです! 思い悩んでいた時に『アイドルマスターシンデレラガールズ』『あんさんぶるスターズ!』などのアイドル作品に励まされていました。それと同時に、3DモーションでLIVEを行うアイドルたちの姿はVTuberと重なる部分があって「いつかは自分もこういうLIVEをしたい!」という原動力にもなっていたと思います。
対照的ではなく表裏一体
――4月に行われた3周年LIVEはいかがでしたか?
星街すいせい:戌亥とこちゃんがゲスト参加してくれたり、ホロメンとバンドを組めたりと、やりたいことができたLIVEでした!
――3周年LIVEで披露された『GHOST』は、すいせいさんが作詞されていますよね。
星街すいせい:『GHOST』は私たちVTuberを皮肉ったタイトルなんです。存在しているけど、存在していない。まるで幽霊みたいだなと。あとは、VTuberに対してネガティブな書き込みをSNSで見かけて、ムカついたこともあったんです。「それならあなたがVTuberやってみなよ!」って(笑)。そういう負の感情を歌詞にひっくるめて作った、大袈裟に言うと”世界の全てを憎んだ曲”です。
――憎しみから生まれた歌詞なんですね
星街すいせい:でも、歌詞が思い浮かんだのは入浴中でした(笑)。最初に『ゴーストみたいだ』というフレーズが思いついて、そこから膨らませていきましたね。3年間のVTuber活動で日々感じていたことや、溜まっていたうっぷんがあったからなのか歌詞の制作期間は2日ほどでした。
――約1年前にも『NEXT COLOR PLANET』で作詞をされていましたが、今回はかなり対照的な歌詞ですよね。心境の変化などあったのでしょうか?
星街すいせい:2周年記念曲の『NEXT COLOR PLANET』は、みんなでわいわい楽しんでいこう! というパーティー感を詰め込んだ歌詞で、『GHOST』は活動しているうえでの苦悩や大変さを表現しています。そこに心境の変化はあまりなく、どちらも私の中では共存している感覚で、対照的というよりは表裏一体が近いと感じています。
普段はリスナーさんに「ダーリン」なんて絶対に言いません!
――先ほど『GHOST』は世界の全てを憎んだ曲と表現されていましたが、新曲『Bluerose』は一転して優しい楽曲ですね
星街すいせい:まさに、世界の全てを愛する曲ですよね。楽曲提供してくださった夏代孝明さんには「おでかけした時に、街中で口ずさみたくなるポップな曲」というオファーをさせていただきました。最初にあがってきたデモは想像以上で、歌詞を見て博愛がテーマのいい曲だなぁと。
――新たな一面が垣間見える楽曲ですよね
星街すいせい:私のなかでは気分が高揚している時のイメージソングです! 普段はリスナーさんに「ダーリン」や「そばにいてね」なんて絶対に言わないですけど、歌を通じてだから伝えられるかなって(笑)。
――楽曲には「おはまち」「彗星の如く現れたスターの原石」など、すいせいさんらしいフレーズが散りばめられていますよね
星街すいせい:あれは夏代さんからの「リスナーさんに向けた等身大の言葉をカットアップで入れたいです」というアイディアで、とある雑談配信の音声をそのまま切り取って使っています。あえてどの配信だったのかは言いませんが、ご興味がある方はアーカイブから探してみてください!
――7月8日にリリースされた『駆けろ』は、どんな楽曲でしょうか?
星街すいせい:楽曲提供は『ロキ』『いーあるふぁんくらぶ』を手掛けられた、みきとPさんです! 私の2ndオリジナルソングである『天球、彗星は夜を跨いで』路線のロックな雰囲気で、かつ「思春期の女子目線で葛藤を描いた曲」というイメージでお願いしました。キャッチーであり、どこか和のテイストが感じられるコード進行を聞いて「この方は天才だ」と改めて思いました。みきと節全開の楽曲に仕上げていただいてます!
影響を受けながら、影響を与える存在に
――アニメやゲームがお好きなすいせいさんですが、最近のお気に入り作品などありますか?
星街すいせい:アニメ化もされている漫画『東京卍リベンジャーズ』がマイブームで、読み進める度に感情移入してボロボロに泣いてしまうくらいドハマりしてます!
――好きな作品から影響を受けることはありますか?
星街すいせい:『東京卍リベンジャーズ』を読んだタイミングと、新曲『駆けろ』を初めて聞いたタイミングが一緒で、偶然なんですけど作品と歌詞が重なる部分があるな、と。自分の曲なので自分とリンクするところを探さなきゃいけないのに、つい作品と重ねてしまって歌いながら泣きそうになってました(笑)。あとは、アニメの主題歌である『Official髭男dism』さんの『Cry Baby』も大好きで、コード進行の複雑さや、ボーカルの藤原聡さんが、女性でも出すのが難しい高音を軽々と歌い上げるのを聞いて衝撃を受けました。
――『Cry Baby』は歌枠でもカバーされていましたね。歌枠といえば、すいせいさんはアニソンからボカロ曲、J-POPまで選曲が幅広いですよね
星街すいせい:飲食店でアルバイトをしていた頃に、店内の有線放送で流れてくるトレンド曲を聞いては、気になる曲を家で調べるという習慣がありました。そのためか今もアーティストではなく、楽曲単位で曲を好きになることが多いのでジャンルが幅広いのかなと思っています。
――当時のすいせいさんのように、歌枠を通して原曲を知る方も多いかもしれませんね
星街すいせい:確かに(笑)。私がみんなの有線放送になれたら嬉しいですね! 聞いてくださった方が私のカバーから原曲を好きになっていただけたら何よりです!
――受け取る側から、発信する側になったわけですね。ただ、苦悩もありそうですね。
星街すいせい:ジャンルが広いと、リスナーさんが知らない曲も必然的に増えてしまうんですよね。私は普段から聞かない曲を覚えるのが苦手で。そのせいで流行りの曲を歌ってほしいというファンの方にとっては、変化球な選曲が多くなってしまうこともあります。でも、知っている曲じゃなくても耳を傾けてくれる方なら、私のオリジナル曲も聞いてくださるのかなとも思っています。
才能がある人にスポットライトを!
――ホロライブENの『Mori Calliope』さんとのコラボカバーとなった『GETCHA!』ですが、ファンにとっては、JPとENを代表する歌姫の待望のコラボになりましたね
星街すいせい:カリオペの歌を初めて聞いた時に「アーティストVTuberじゃん!」と衝撃を受けました。絶対にコラボしたいと私から声をかけました。せっかくなら彼女が本領発揮できるラップを活かせる曲がないかなと探していて、『GETCHA!』に出会った時はこれしかない! とすぐにカリオペに連絡したのを覚えています。
――コラボしてみた感想は?
星街すいせい:もっと一緒にやりたい! と思うくらい相性抜群でした。「今度は楽曲を作ってコラボしたいね」なんて2人で話しています。まだ予定はないですが、もし第2弾があるならクールなオリジナル曲でいきたいですね!
――『GETCHA!』は歌もさることながら、イラストや映像も素敵でしたね
星街すいせい:イラストをあすださん、映像をSaia(さいえい)さんにお願いしました。完成したものを見た時は、おふたりに任せて良かったと思えるほどの出来で感激しました。
――イラストや映像を依頼する際は、どういった方にお願いすることが多いですか?
星街すいせい:私がV紅白歌合戦でピックアップして頂いた経験があるので、実力や才能はあるのに、まだ注目されていないような方たちにお願いしたいなと考えています。あの時の恩返しじゃないですけど誰かに還元できたらなと!
――それがきっかけで、多くの方にスポットライトが当たるといいですね!
星街すいせい:実際、過去に依頼した方から「お仕事が増えました!」と報告してくださったことがあって、その時は嬉しかったですね! ただ、依頼した方がお忙しくなると、またお願いしようと思ってもスケジュールの都合がつかないこともあったりして……嬉しい反面、ちょっと寂しくもあります(笑)。
――今後、歌でコラボしたいVTuberの方はいますか?
星街すいせい:常闇トワ、桃鈴ねねとは普段から「一緒に歌いたいね」と話はしています。あとは、最近仲が良いさくらみこちゃんともやりたいですね! ホロメン以外ならMaiR(メア)さんや、まりなすさんとも歌コラボしてみたいです。
実はラジオの方がしゃべりに集中できます!
――4月から声優・田所あずささんとのラジオ『星街すいせい・田所あずさ 平行線すくらんぶる』がスタートしていますが、個人配信との大きな違いはありますか?
星街すいせい:配信だと自分で環境設定をしなくてはいけないんですが、ラジオは全部プロの方々がやってくださるのでしゃべりに集中できますね。ありがたいことにラジオ番組に携わる機会も多くて、今ではあまり緊張もしなくなってきました。我ながら「こなれちまったな」と感じています(笑)。
――3月まで放送していた『ホロライブ presents 星街すいせいのMUSIC SPACE』とは、また毛色の違う番組ですよね
星街すいせい:『MUSIC SPACE』は、音楽色を大事にするスタンスの番組でしたね。毎回ゲストさんをお招きして、生歌を披露するというこだわりがありました。対して『平行線すくらんぶる』はパーソナリティー2人で、みなさんに癒しを届けられるような番組になっています。
――田所あずささんとのコンビネーションもバッチリですよね
星街すいせい:1クールほどご一緒させていただいて、かなり打ち解けられました! ころちゃん(番組内での田所あずささんの愛称)は聞き上手なので、マシンガントークも受け止めてくれるし、変なことを言ってもツッコんでくれて、まさに最高のパートナーです!
――おふたりは、ともにYoutubeでゲーム実況をしている共通点がありますね
星街すいせい:お互いにゲームが趣味で、少し前にはころちゃんからの勧めで『バイオハザード7』を実況配信しました! 続編の『バイオハザード8』もプレイしたいんですが、ころちゃんが絶賛実況プレイ中でして。「私がクリアするまで待って!」と釘を刺されているので、私がプレイするのは少し先になりそうです(笑)。
――収録時のエピソードなどありますか?
星街すいせい:ころちゃんは、私の写真を見ながら話をしたいらしくて、収録中はいつもテーブルに写真が置かれています(笑)。3回目くらいの収録から、ころちゃんは私の目と、写真を交互に見ながらお喋りしています(笑)。
VTuberを当たり前の存在へ!
――武道館LIVEという大きな夢を持つ星街さんですが、今だからこそ目指せるような新たな目標・夢はありますか?
星街すいせい:まずはチャンネル登録者数200万人を目指していきたいです。それから、VTuberという文化を大衆に知らしめたい! という大きな目標があります。VTuberがテレビのひな壇にいて当たり前の存在になれるように、その先駆けになれたらなと思っています! そのために、ラジオやLIVEなど活動の幅を広げて、メディアへの露出を増やせるようにしていきたいです! あとテレビに出たいです! 関係者の方々からのお声かけお待ちしています(笑)。
――最後に、読者の方へメッセージをお願いします!
星街すいせい:歌を聞いてください! アルバムを買ってください! これからも応援お願いします!
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